明石市長の暴言から考える パワハラと叱咤激励の境界線

パワハラ

明石市長の「火ぃつけてこい!捕まってこい!」という暴言が巷を賑わせている。
この発言報道を知った殆どの人は
「コイツはヤクザ関係者か?チンピラか?辞職だろ当然!パワハラ以前の問題だッ!犯罪教唆だろ!」
とかなりの嫌悪感・怒りを覚えたはずだ。

かつて近隣の西宮市長がまさにヤクザ顔負けの暴言を吐き、辞職したことがあったので「またか」と私も思った。
最近の政治家は目に余る質の低下が激しい。もうこういった報道にも驚かないのだ。
「このハゲー!!!」なんてまだまだ記憶に生々しい。

だが、今回は違った。
報道が完全にマスコミが切り取って悪意を持っていたからだ。
まさに情報操作そのものである。
「ペンは剣よりも強し」なんて言われているが、思い上がり・勘違いも甚だしい。
人の人生をペンで自由に変えれるなんて、神様気取りなのか。

この発言のフルバージョンを最初に報道したのは地元の神戸新聞だという。
恐らく、この市長の本質を良く理解していたのだろう。
悪意を持った報道で市長の真意が闇に葬られ、必要以上に悪として叩かれるのを堪えれなかったのだと思う。

当初の切り取り報道時点では市に対する意見では9割が厳しい批判・苦情だったのに対し、‟暴言の続き”が発表されるや否や、肯定意見が約半分まで増えたという。
ここで我々大衆の責任が問われると思う。

特にネットでは匿名ということもあり、「‟悪”に対してはどんな酷い表現で罵っても構わない」という驕りまくった人間が徹底的にありとあらゆる罵倒表現をまくしたてて批判する。完全に人格否定の論調で、だ。
本人が生きている価値がない、死ぬべき、だと脅しているようなレベルのものも少なくない。
ハッキリ言ってこれは犯罪じゃないか、と思うところもある。
暴言が言葉の暴力としてどこからが刑事罰に抵触するのか、私も詳しくはないが悪いことをした、言った人だからと言って何を言ってもいいかと言えるものではない。

一番酷い表現を堂々と言えるのは殺人を犯した人間に対してだろう。極刑にしろ、火あぶりの刑にしろ、今すぐ刑を執行しろ、裁判はいらない。

こういう意見にヤフコメは「そう思う」が9割ぐらいついているケースが多い。

だがここでまず一つの問題がある。
そう、もし彼が冤罪だったらその発言の責任が取れるのか?である。

マスコミもそうだが警察だって職務怠慢やミス、あるいは悪意を持って真実でないことを真実であるかのように捻じ曲げることがある。
警察なら誤認逮捕なんてのは報道されてないだけでかなりありそうだ。

もし、明石市長のように「無実」ではないが、話の前後によって印象がだいぶ変わってくるケースだと、「辞めろ」だけでなく「死ね糞市長」みたいな暴言を吐いた連中は振り上げた拳、吐いた唾に対する責任をどうとるのか。
大半は掌返しをするだろう。
自分の吐いた発言に責任なんて感じてない。
出てくる言葉は「報じたマスゴミがカスや!ワシらを騙しおって!」だろう。

だが、マスゴミが悪いにしろ、暴言を吐いたアンタも悪い。その責任はとれるのか?と。

私個人の見解としては、明石市長は確かに熱い気持ちを持った責任感のある長である。
だが、叱り方が悪すぎる。
この表現では、叱っているのではなく、怠慢な職員に対し攻撃しているだけに捉えられる。
もちろん、怠慢な職員はそれなりに罰を与えられるべきではあると思う。
公務員は税金で食べさせてもらっているのだから怠慢なんてのは完全な背信行為だろうからだ。
極端な表現をするならば「給料をだまし取った」とも取られる。
与えられた仕事をしていないのだから。

だからこの市長は怒っていることに関しては正しいのだが、表現がアウト過ぎる。
もし私がこの叱り方をされたなら、やはりパワハラだと受け取るだろう。
職員が怠慢だったこと、市民の安全のため、役所の責任、を彼にわからせるのなら、
「火をつけて捕まってこい!」なんていうのは全く叱咤している内容と矛盾しているのだ。
そしてやはり犯罪教唆に抵触してしまう内容だと思う。

この市長の本質はチンピラじゃない。自らが土下座をする、とまで言っていることから、本当に熱い情熱を持った人なのだろう。
熱くなりすぎて、言葉も暴走してしまうタイプなのだろう。

正しいことを言っているからと言って、どんな表現をしてもいいものではない。

それは市長、マスコミ、ネット民、みんなが反省しなければならない事件だと思った。

そして逆に言えばだ、明石市長もきちんと言葉を選んで叱咤すればパワハラでも暴言でもなかった。
これでは録音したところで足元を少しもすくうことが出来ない。

言葉選び。
カッとなった時こそ、一瞬間を置いてちゃんと考えるという癖をつけた方がいい。
その一瞬で選んだ言葉が、人生を大きく変えることがあるから怖いのだ。

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