Gメン75 その作風と番組終了の遠因を探ってみる

原田大二郎氏がファミリー劇場で語っていた「Gメン75」の魅力。
ハードボイルド、つまりドライでクールな、ともすれば冷たい作風ともいえようか。
同じ時代の刑事ドラマやアクションドラマと見比べてみるとわかるが、前回にも語ったようにGメンは笑いの要素やレギュラー刑事の私生活を極力省いている。

このようなタイプのヒットドラマは私が見た中ではあまり見当たらない。
前作のキイハンターやアイフル&バーディー大作戦とは大違いだ。同じ制作会社のスタッフで作っている作品とは思えない。

その冷たい作風が顕著になるのは、レギュラーメンバーが退場した時だ。
Gメンでは二人の刑事が殉職している。関屋警部補(原田大二郎)と津坂刑事(岡本富士太)だ。
『太陽にほえろ!』などでは、仲間が殉職すると必ずと言っていいほど、彼らの思い出は語られる。
それが人情というものだし、日本人気質として合っている。

それがあGメンではまるで最初から退場したメンバーが存在しないかのように、劇中では全く回想シーンがない。


退場したメンバーは二度と画面に登場しなかったのである。(例外として津川警部補《夏木マリ》、速水刑事《森マリア》は再登場している)
慣れ親しんだメンバーの退場に悲しみや寂しさに浸っている視聴者を冷徹に置き去りにするかのような作風だ。

私自身はこの作風に大きな違和感は感じた。私も趣味で漫画を描くが、絶対に同じような作風は描けない。
ある意味、最も視聴者の気持ちと作品が共感出来るシーンを敢えて描かないのは、視聴者離れを起こしかねない。

結果としてこの作風が仇となり、79年からはGメンは下り坂になる。
大人気を誇っていた草野刑事(倉田保昭)が退場し、香港カラテシリーズはそれ以降、Gメンレギュラーが活躍するのではなく、ゲストの香港アクション俳優が主役になってしまう事態となった。

これでは何の作品かわからなくなってしまう。
せめてゲストで草野刑事を再登場させることをしてくれれば、離れて行った視聴者を呼び戻すことも出来ただろうに、それをしなかった。
制作陣の意地っぱりが、結果として魅力的な作品をどんどん色褪せさせてしまった。

75年から79年4月まではそのクールな描写が他の刑事ドラマとの決定的な差別化として魅力的に輝いていたが、79年5月のメンバー一新からは田口刑事(千葉裕)の恋人を登場させたり、おっちょこちょいな描写があったりと、それまでのギラギラした雰囲気が壊れてしまった。
これは時代の変化だったんだろう。重くてハードな雰囲気は「暗い」「ダサい」と若者中心に敬遠されるようになり、明るく活発な空気が好まれるようになっていった。

この時に生じたそのライト感覚は後のあぶない刑事などの路線に繋がり、そして今に至っている。
Gメンタイプのドラマはほぼ絶滅してしまったのだ。

この79年に制作陣が時代に流されず、飽くまでGメンの個性を堅持してくれたら、視聴率は下り坂かもしれないが番組終了はもっと後になった可能性は高い。
一つの大きなターニングポイントが79年の大幅なメンバーチェンジと作品のイメージチェンジである。
これは視聴者がかなり離れていったことが伺える。

その後、半年でリニューアルし、演技力が厳しい新人の村井刑事(有希俊彦)は姿を消した。彼は今どうしているのか全くネット上でも情報は掴めない。厳しい現実である。

アクション派で最も人気があった草野刑事と、人情派のベテラン山田八兵衛刑事(藤木悠)という二人の大きな核を失ったのが余りにも大ダメージだった。倉田氏は自ら降板を申し出たとしても、ベテラン刑事のポジションも無くしてしまうのはお粗末だったと言わざるを得ない。

演技も未熟で雰囲気もハードさが物足りない若手二人を入れてしまったら、これは『太陽にほえろ!』の劣化版になってしまう。
どっちつかずの中途半端な魅力になってしまい、唯一Gメンの魅力を醸し出している立花警部(若林豪)への比重がかなりかかってしまうこととなった。

私が子供の頃見ていた記憶ではほとんど立花が主役を飾っていた印象だ。
というより他の刑事の個性が薄すぎた。
黒木警視正は別格として、立花警部とその他の刑事、みたいな作品になってしまった。

そして魔の81年のフルモデルチェンジ。
ここでGメン75は終了し、新番組としてスタートする案もあったそうだ。
実際、別番組になってしまったかの如く、慣れ親しんだOPテーマも一新し、菊池俊輔氏も降板してBGMも大きく変わってしまった。

菊池氏の貢献度は計り知れない。
テーマソングは番組にとっては顔である。そしてBGMは作品と一体化しているものだ。
それを変えてしまったのだから、今でも制作陣は何を考えていたのか?と思わざるを得ない。

アゲインを使いたかったら、別番組を新たに立ち上げればよかった。
アゲイン自体はいい曲なのだが、それがGメンのテーマとなると違和感しかなかった。

私はいつしかGメンから遠ざかり、最終話も見た記憶がない。
Gメンへの思い入れが消えてしまった瞬間であった。

今改めてアゲイン編を見ると、それなりの良作はある。むしろ、視聴率低下を喰い止める為により力作が多い印象だ。
Gメンメンバー同士の意見のぶつかり合いなども取り入れたりと、それまでのGメンにはない要素も加わっていた。それだけに勿体ない。

私は特捜最前線よりGメン派だ。特捜最前線が平均70点のドラマならGメンは100点の時もあれば40点の時もある。
ムラが激しいのも魅力ではあるが、もうちょっと丁寧に番組の色を守って欲しかったと、youtube にアップしながら今も思いは募る。

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