貴景勝!四つ相撲をマスターし上を目指せ!

貴景勝が大関昇進決定的である。
私は昭和60年から大相撲ファンであるが、正直ここ15年ぐらいの大相撲はあまり興味がなかった。
日本人横綱不在ということもあるが、余りにも大味の取り口ばかりで好取組や個性派力士が少なくなったからだ。

その意味でも貴景勝には期待する。彼はかなりの個性を持った力士だ。
アンコ型で単純な突き押し相撲だが、自分の型というものをしっかり持っている。
突き押しに徹するというのは、これは難しいことだ。
安易に組んで、なまくら四つという型がない力士が多い中、彼は自分の型を完成形に持ってきている。

ただ、横綱を目指すのなら、白鵬はじめとする多くの声があるように、四つ相撲はマスターしていく必要はあるだろう。

かつて、明治から大正にかけては太刀山という横綱がほぼ突き押しオンリーで56連勝という無双状態を誇ったが、当時の力士の平均体格(おおよそ170㎝、85㎏前後)を大きく上回る188㎝、140㎏という巨漢であったため、単純に今と比べることは出来ない。
例えば曙と同じようなものだろうとも言えない。平均的な力士の力量との差がもっと激しかっただろうから。

貴景勝はむしろ、身長では平均よりかなり下であるため、勢いとパワーに任せた突き押しの突進だけでは、確かに本人が言うように力士寿命は短いだろう。
空手をやっていたという前歴からも千代大海を彷彿させるが、彼も横綱にはなれなかったし、身長では千代大海(180㎝)を5㎝も下回る。

175㎝、170㎏の超アンコ型からいうと、一回り体格は違うが183㎝、186㎏だった朝潮太郎(4代目、現高砂親方)が近いタイプかもと思う。
朝潮はとにかく立ち合いから一気に頭からぶちかまし、額を大きく切って血だるまになりながら相手を押し出す戦法が得意だった。
”土俵のブッチャー”なる異名もあったぐらい、凄まじい流血ファイトだった。

朝潮のぶちかましは、あの全盛期の千代の富士ですら、一気に何もさせず土俵下まで吹っ飛ばした程のパワーであった。
私は直接見ていないが、”猛牛”琴桜も同じような突進タイプで、あの大巨人アンドレ・ザ・ジャイアントが「サイのようだ」と怯えていたぐらいだった。

だから一つは、この二人のようにひたすら立ち合いのぶちかましで相手を吹っ飛ばすぐらいのパワーを磨いてほしい。
そして課題の四つ。

”プッシュ、プッシュ”の285㎏の小錦ですら、四つ相撲を大関以降は覚えていったのだから、貴景勝も組み止められた時の対策は練るべきだろう。
朝潮は突進を組み止められて守勢に回ったら驚くべき程脆かった。
そして白鵬に近いタイプだった柔軟な旭富士を苦手としていた。
つまり、身体が柔らかくて懐が深い相手だと貴景勝も苦戦することは必至であるのだ。
まして四つ相撲がそこまで未熟であれば、それ以前の問題である。

四つ相撲と言っても、何も廻しを取るのが全てではない。
差す技術だけでもいいのだ。
差し手を返し、相手の身体を浮き上がらせる戦法。
とにかく、自分と同じような体型の大力士を研究し、身長が低いのを逆に武器にしていけるような四つ相撲を身に着けて行ってほしい。

相撲は必ずしも長身が有利とは限らない。
むしろ、短足で重心が低い方が有利であることも多い。
貴景勝は朝潮が脆かった下半身を強化し、北勝海のように頭を付けて喰いつくような四つ相撲であれば、相手にとってはこれまた嫌なタイプになるだろうと思う。

立ち合いのダッシュ力を生かして前みつを取って一気に持っていくのもいい。
かつて大味な相撲で何度も肩を脱臼した千代の富士が大化けして一気に横綱まで駆け上がったのも戦術を大きく変えたからだ。
ポリシーも大事だが、状況に応じて相撲を改善するのも大きな進歩となる。

足腰を徹底的に強化すれば、重心が低く短足な体型が生きてくる。
かつて「臼のように腰が重い」と表現された鳳凰のように。

突き押し相撲の幅を広げるとしたら、喉輪戦法も積極的に取り入れてほしい。
そして栃木山のようにはず押しを磨き上げる。

久々に出てきた大物日本人大関だ。
22歳という若さで本人のストイックさもこれまた全力士の中でも相当なもの。
極真空手をやっていたという父親の厳しい指導が色んな意味で花開いている。
彼自身は決してイケメンではないが、美女の母親も含め、スター要素が一家に揃っている。
これは人気稼業としてはプラスである。

貴景勝の四つ相撲、最初は組み止められた時の防御策として身に着けていけばいい。
これを身に着けて突き押しに磨きをかけていけば、勢いに乗って25歳までには綱を張る可能性は高い。
この時期になるとさすがの絶対王者白鵬や、鶴竜ももう引退か大きく衰えているだろうから、貴景勝をトップとした形になるだろう。

これに御嶽海あたりが続けば、大相撲は強豪日本人力士が再び王者の座に付いて大いに盛り上がる。
その間に大鵬の孫の納谷や千代大豪あたりが上がってきてくれればと思う。

まずは貴景勝が一気に回りを引っ張る形で突っ走ることだ。
この勢いに他の力士が刺激され、いい意味での競争激化になる。

大いに期待したいところである。

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